
この記事でわかること
- 運動会などの行事後に「急に行けなくなった」と感じやすい理由
- 2学期後半に心が揺れやすい背景にあること
- 今この時期に、保護者としてできることのヒント
—
運動会が終わった翌週から、急に朝起きられなくなった。 それまでは何とか行けていたのに、文化祭の準備が始まった頃からぴたりと足が止まった。
そんなご相談が、毎年この時期にとても多くなります。
「行事の前は頑張っていたのに、なんで終わってからのほうが…?」と戸惑う保護者の方も少なくありません。でも、それにはちゃんとした理由があります。お子さんが「弱いから」でも「サボりたいから」でも、ありません。
なぜ行事のあとに「行けなくなる」のか
学校の行事というのは、子どもにとって思いのほか大きなエネルギーを使うものです。
運動会や体育祭には、長い期間の練習が伴います。苦手な競技、チームの中での関係、先生からの指示、「うまくやらなければ」というプレッシャー——目に見えないところで、心はずっと張り詰めています。

そして、行事が終わると「目標」が消えます。ずっと「運動会まで」と自分を奮い立たせていた子が、終わった瞬間に力が抜けてしまうのは、ごく自然なことです。
学校行事は、得意・不得意が表に出やすい場面でもあります。体を動かすことが苦手な子、人前に出るのがしんどい子、集団の中でペースを合わせるのに疲れる子——行事は楽しい反面、そうした子にとって評価不安や対人ストレスが連続しやすい場面でもあります。
さらに、学校行事は「普段よりたくさんの人と密に過ごす日」でもあります。心が疲弊しているところに体の疲労も重なり、行事の後に体調を崩すお子さんも珍しくありません。
「頑張ったご褒美に、ちょっと休もう」という体と心のブレーキが、そのままスイッチを切ってしまうことがある。それが、行事後の「急に行けなくなった」につながりやすいのです。
2学期後半は、こんなにも揺れやすい時期
実は、夏休み明けの9月前後は、一年の中でも子どもの心が特に揺れやすい時期として知られています。長い休みのあと、生活リズムが戻らないまま学校が始まること、人間関係のリセットに対する緊張感、宿題や学習の遅れへの不安——これらが一気に重なります。
そして9月を何とか乗り越えたとしても、10〜11月にかけて「第二波」ともいえる揺れが来ることがあります。運動会・文化祭・合唱コンクールといった2学期の大きな行事が集中するこの時期は、心のエネルギーが消費されやすく、「行事が終わってからのほうがしんどい」という子が出てきやすいのです。
また、秋から冬にかけては日照時間が短くなり、朝晩の気温差も大きくなります。自律神経が影響を受けやすい子は、この季節の変わり目に体調が不安定になることもあります。「朝だけ調子が悪い」「学校に行こうとすると頭が痛くなる」という症状は、気持ちの問題ではなく、体がサインを出しているケースも多いです。
文部科学省の調査では、小・中学校の不登校の児童生徒数は12年連続で増加し、令和6年度は約35万4千人と過去最多となっています。不登校は特定の子どもだけの問題ではなく、今やどの学校にも、どのご家庭にも起こりうる状況です。

今、保護者としてできること
「このまま長引くんじゃないか」「勉強が遅れてしまう」「どうすれば行けるようになるんだろう」——お子さんのことを思うと、焦りや不安が積み重なりますよね。その気持ちは、ごく当然のことだと思います。
ただ、この時期の子どもに一番必要なのは、「家が安心できる場所であること」です。学校で張り詰めていた心を、家でゆっくりほどける時間。それだけで、少しずつエネルギーが回復していきます。
今できることを、いくつかお伝えします。
まず、責めないこと。お子さんに「なんで行けないの」と問い詰めるよりも、「しんどいよね」と一言そばにいてあげるだけで、子どもの安心感はぐっと違います。「行けないこと」をお子さんのせいにしないでください。学校が合わなかっただけ、今の環境がその子のペースと合っていないだけ、ということがほとんどです。
次に、情報収集を始めること。焦って動く必要はないけれど、選択肢を知っておくことは大切です。学校のスクールカウンセラーへの相談、市区町村の教育相談窓口、フリースクール、放課後等デイサービスなど、今はさまざまなサポートの場があります。「どこかに頼っていい」という気持ちを、まず保護者の方自身が持てると、少し楽になれます。
そして、一緒に次の一歩を考えること。ゴールは「学校に戻ること」だけではありません。その子のペースで、安心できる場所を一つ見つけること。それだけで、子どもの表情は変わってきます。
まとめ
運動会や行事のあとに「急に行けなくなった」のは、お子さんがそれまで一生懸命頑張ってきた証でもあります。心のエネルギーが底をついたサインを、どうか「弱さ」として見ないでください。2学期後半は、多くの子どもにとって心が揺れやすい時期。それはデータや現場でも確認されていることです。
今は焦らず、お子さんのそばで「ここは安心できる場所だよ」と伝え続けることが、次の一歩への一番の土台になります。
—
リンカーンでは、こんなお声をよくいただきます。「行事のあとからずっと休んでいて、もうどうしていいか…」「フリースクールに興味はあるけど、うちの子に合うかわからなくて」——そんな段階のご相談でも、まずはお聞かせください。
フリースクールリンカーン(江戸川区瑞江・江東区亀戸)では、学校がちょっとしんどい小学1年生〜中学3年生のお子さんが、その子のペースで安心して過ごせる場所をご用意しています。居場所としての安心感と、必要であれば学習のサポートも、一緒に考えていきます。「合うかどうか」は、まず話してみることから。お気軽にご連絡ください。